第20回日本音楽療法学会学術大会 講習会要旨

わたしの声、あなたの声-「声」で考えるコミュニティミュージックセラピー

音楽療法のセッションは「声」であふれています。そこには話し声、笑い声、泣き声、歌声、叫び声、うめき声、声にならない声など、多種多様な「声」が存在しています。「声」は私たちがそれを意識したとたん、その声はただの音ではなく、意志や意味をもつものとして様々なことを語りかけてきます。つまりある人の声を聴くことはある人に「コンテクスト」を与えることでもあるのです。「クライアントの声を聴く」と言いますが、私たちはクライアントの声の中に何を聴いているのでしょうか。そしてクライアントは私たちセラピストの声の中に何を聴いているのでしょうか。

他者の声の中に自分の声を聴く、つまり他者を通して自分を知る―このことが人と人との関係に変化をもたらし、文化を生み、次の人へと広がり、コミュニティが形成されていきます。この講座では「声」「聴く」をキーワードに、コミュニティミュージックセラピーの描く世界観を考えていきます。

プロフィール

井上 勢津(いのうえ せつ)
学習院大学文学部哲学科卒業。
東京音楽大学(声楽専攻)を経て、ノルウェーへ留学。
現在、ノルウェー政府認定音楽療法士として日本で活動する一方、北欧と日本を結ぶ文化活動を行っている。
東京音楽大学(音楽教育専攻・指揮専攻)、東邦大学(医学部・看護学部)非常勤講師。