第20回日本音楽療法学会学術大会 講習会要旨

音楽という作業

作業療法は,生活機能に障害がある人に対し,もちいる作業や治療形態を,対象者の病状や障害の程度,回復状態,興味・関心,治療・援助目的に応じて組み替え,使い分けながら,急性期の病状安定から生活支援まで,一貫した治療・援助を行うシステムプログラムである.作業療法では活動の一つとして,音やリズムなどの音楽の要素と創作・表現活動としての音楽の特性をもちいる.人にとって音楽とは何か,意思伝達の手段としてことばをもたなかった時代から,人は,唸り,泣き,叫び,笑うといった声音により,喜怒哀楽の情動を表してきた.この情動を表出する声音が,発声機能や言語の発達にともない音階へと変化し,音楽が生まれた.そして生きるために必要な食料を確保し,災害や病魔から身を守るために,人々は集まり,人知を越える力に対し共に祭祀を行い神仏に祈った.世界中のあらゆる宗教が,音楽をもっているのは,そうした人と音楽の関係が理由の一つにあるからと推測される.

この情動表現や神仏への祈りとともに,生活に重要なこととして,気持ちの伝達と交わり(交流と共同)がある.人は命を保つ食料を得るための農耕や狩猟において,古代より集団を形成し,声を掛け合って,共同作業を行ってきた.個の命や種の保存のために,協力して闘い,危機を乗り越え,生産し収穫するために共に鼓舞したり,また種の保存につながる愛の相手の獲得にむけ性的興奮を高めるためなどに,リズムや歌,踊りがあった.

作業療法の概要と,作業療法で音楽をどのようにとらえているのか,作業分析の視点から音楽という作業を紹介する。

プロフィール

1949年4月21日生まれ 島根県 丑年 牡牛座 血液 AB
資格:認定作業療法士,博士(医学),登録園芸療法士
現職:「ひとと作業・生活」研究会主宰

Chairman of Society of Human and Occupation·Life ; SHOL

京都大学名誉教授

兼職:日本精神障害者リハビリテーション学会理事 京都市精神福祉協会理事 日本園芸療法学会理事 市民学習会「拾円塾」主宰 広島大学医学部客員教授

提唱:こころのバリアフリーの街づくり,リハビリテーションは生活,ひとが補助具に こころの車いす
著書:作業療法覚書,臨床作業療法,作業療法の知・技・理,治療援助における二つのコミュニケーション,作業療法の詩,作業療法の詩―ふたたび,ひとと植物・環境,ひとと音・音楽,ひとと作業・作業活動第2版,精神障害と作業療法第3版,ひとと集団・場第2版等著書67冊,企画編集44冊 論文:学術論文109編,総説等132編,その他